神風の如く
──さてと、今日は家事系の仕事でもするかな
何日間か見張りっぱなしだった華蓮に加え、組長である沖田はほぼ朝帰りに近いことから一番隊は今日は屯所待機
華蓮は朝餉の片付けから始めていた
「蓮さん、私も手伝いますよ」
洗ったお皿を華蓮の手からヒョイ、と持ち上げたのは沖田だった
「沖田さんっ!?
疲れているんですから休んでいて下さい」
「あれくらい大丈夫だと言ったじゃないですか」
「でっ、でも!!」
昨日帰ってきた時、返り血を浴びていてひどく疲れたように見えたのだ
「僕がやりたいんですよ」
それでもやりたい、というので華蓮は結局お願いすることにした
「そうだ、小刀投げてくれてありがとうございました」
華蓮が器を洗い、それを沖田が手際よく拭いていく
「えっ……でも、沖田さんなら私の手助けなんて必要なかったかもしれませんね…」
新撰組一の剣豪という名はだてじゃない
「う~ん、でもあの時は本当に危なかったんですよ?
助かりました」
否定をしないということは、やはり沖田一人でもなんとなかったのだ
だが、沖田の言っていることもあながち嘘ではないのだろう
華蓮は役に立てたことが素直に嬉しかった
「そうなんですか………沖田さんを守れてよかったです」
全て洗い終わり、顔を上げたらキョトンとした沖田が華蓮を見つめていた
「沖田さん……?」