神風の如く
──ザワザワ
華蓮がかなり大きな声を出したので、周りは自然とスペースを作ってくれた
「さあ、どこからでもどうぞ
本当に我流だから、後悔しないで下さいね」
華蓮はもともと空手をやっていたのだ
それを全く使わないのは勿体無い、と沖田からは上手く取り入れるように言われている
そして、斉藤仕込みの剣さばきも本人からなかなかできるようになってきた、とのお墨付きなのだ
華蓮が竹刀を構えると、相手の男たちは華蓮をぐるりと囲むように立った
──本当に5人で来るのか…
──まあ、別にいいけど
もともとは空手、一対一が基本だと思っているからなんだか情けなく感じる
「ふっ、後悔するのはお前だぁぁぁ」
対局の二人が同時に華蓮に斬りかかる
正面の竹刀を上手くかわし、後ろは自分の竹刀で止めた
そしてその反動を生かして後ろの奴の竹刀を弾き飛ばし、それに気を取られている正面の相手の胴に竹刀を入れた
「あんたは力弱すぎっ!!」
「なっ……」
「それでそっちは油断しすぎ!」
「クッ……」
華蓮はご丁寧にもコメントを言いながら次の三人を相手する
「あれ、蓮が体術使わなかった……
剣もずいぶん様になってるね」
藤堂が感心して言う
「そりゃあ、あの斉藤から教わってんだからな
それに、私事の争いじゃなく、ちゃんと稽古になってるぜぇ」
冷静に言うが、永倉も内心驚いていた
いくら体術と多少の剣道の経験があるとは言え、華蓮は女だ
まだ入隊して一年経っていないのに、ここまで強くなることは普通ではない
──蓮、そうとう努力してたからなぁ
華蓮は負けず嫌いな上に、努力家なのだ