神風の如く
──ドォォン
「何の音だ!?」
部屋で机仕事をしていた土方は突然した大きな音に部屋から飛び出した
──長州の奴らか!?
──いや、でも今の音は道場の方だな
道場に着くと何人かを囲むように隊士たちが避けていた
幹部を見つけて声をかける
「おい、何があった!?」
道場内には壁側で気絶している奴と、正座させられているのが4人
そして、その4人の前に立ってるのが……
「うぉっ、土方さん
驚かすのやめてくれよ」
藤堂は後ろから声をかけられ、仰け反る
「あれは……蓮か?」
「残念ながら」
永倉は困り顔で答えた
「あんたたちは隙がありすぎなんだよ!
一応手ぇ抜いてやったけど、戦場だったら間違いなく死んでるぞっ」
「………はい」
私事の争いでは終わらせない
助言をすれば稽古になる
これも華蓮の計算のうちだった
「これ以降、副長や組長の悪口を言ってみろ、ただじゃおかない
わかったかっ!?!?」
「はい……すみませんでした」
華蓮は自分が勝ち、みんなの汚名を取り除けたことで満足だった
笑顔で藤堂たちの方に戻る
「あ、れ………土方さん」
──い、いつから見てたんだろう…
「お、おぅ」
一瞬気まずい雰囲気が流れたのは言うまでもない
「お、お疲れ、蓮!
すごかったよ!!」
そんな空気を読んだのは藤堂
「ありがとう!
今まで溜めてた分、スッキリした!!」
ん~と背伸びをする華蓮を見て三人とも華蓮を怒らせてはいけない、と思った
「おい、新八
あの隊士はもしかして蓮が……?」
コソッと土方が確認する
「そうだぜ……蹴っ飛ばしてああなってる
土方さんも……気をつけろよ」
「永倉さん、聞こえてますよ」
華蓮はジロリと永倉を見る
──ひっひぇぇ
「ふふ、冗談です」
(心臓に悪い………)
その日は一日中華蓮の機嫌がよかったのであった