神風の如く
そしてその日の夕方、いや日が沈み、少し暗くなったころ
「失礼します、お茶をお持ちしました」
「入れ」
年明けにも関わらず、仕事量が変わらない土方はこうして華蓮がお茶を入れないと休もうとしない
「また休んでいないんですか?」
時々、土方の体が心配になる
いくら仕事熱心の副長でも、無理をし過ぎれば体を壊してしまうだろう
「ちょうどお茶が欲しいと思ったところだ
いつも間が良くて助かる」
差し出した湯飲みを受け取り、口に運ぶ
「そうやって誤魔化してもダメですよ
ちゃんと休憩したりとか、寝ることを怠らないで下さい
体を壊してしまいます」
一緒の部屋で寝起きしているから、土方がほとんど休まないことくらいわかっているのだ
「………わかった
確か今日は近藤さんが年が明けたから古株で宴会するか、とか言ってたな」
「えっ!?そうなんですか?
私が聞いてないってことは、行かない方がいいですよね……」
たまには男だけで飲みたいのかもしれない
「馬鹿か、言ってねぇだけだ
他の奴らに伝言と、なにか肴を作っといてくれ」
「っはい!」
宴会となればみんな集まる
新撰組になってからというもの、朝餉など食事の時間までも全員揃うことは少なくなってしまった
部屋を出ると、空から白いものがはらはらと落ちてくるのが目に入った
──ゆ、雪っ!?