神風の如く





──スパンッ



「土方さんっ!!」



華蓮は迷わず、土方に教える



「なっ、なんだ?」



「見て下さい!雪が降ってますよっ!
とっても綺麗………」



華蓮は部屋の襖を大きく開けて、土方にも雪が見えるようにした



「あぁ、やっと降ったか」



昨年の十二月は降らなかったから



「わあっ、雪なんて何年ぶりだろう?
たくさん降ったら、雪だるまとかかまくらとか作れるかな!?

あっ、でも沖田さんたちを誘って雪合戦も悪くないなぁ………」



何年か前に兄の拓哉と遊んだのを思い出した



あれ以来なかなか雪も降らないし、遊ぶ時間も減ったいたので久しぶりに見て懐かしくなる



「ククク、珍しいな、お前がそこまで嬉しそうにはしゃぐのは」



「えっ………すみません」



ちょっと子供っぽかったかな、と恥ずかしくなった



「別に謝ることじゃねぇだろ

たくさん積もるといいな」



土方は優しく笑った














「今日はこの前の一件の礼も兼ねているからなっ


どんどん飲んでくれ!!」



近藤は高らかに笑う



「いやぁ、さっすが近藤さんだぜぇ
年も明けたっつうのに仕事しかしねぇ誰かさんとは大違いだ」



「だな、やっぱり酒はいいぜ」



永倉と原田は既に酔っているらしい



普段よりろれつが回っていない



「新八、原田、なんか言ったか?」



『ひっ、土方さん
なんでもねぇよ………』



要するに誰かさんとは土方のこと



酒の席にも関わらず、終始難しい顔をしている



華蓮はそんな土方が気になった



「あの……土方さん、今日は飲まれないんですか?」



「ん?……あぁ」



──適当に流された気がする



「蓮君、歳は酒に弱いからなぁ
この前みたいになるのが嫌なんじゃないのかな?」


口を開かない土方の代わりに近藤が説明した



「っ近藤さん………
余計なこと言わねぇでくれ」



「そ、そうかそうか
それは悪いことをしたな、すまん」



その後も仲が良さそうに話していた



そう言えば、近藤と土方は江戸にいたころからの付き合い



華蓮の目にもお互いが信頼し合っているように見えていた



そこに山南も加わって、新撰組の重役は安泰である





< 224 / 300 >

この作品をシェア

pagetop