神風の如く
──本当にいつまでもこうしてみんなと笑っていられればいいのに
楽しそうなみんなを見て、華蓮は複雑な気持ちになる
新撰組が、日本がどんな未来を辿るか知っている身としては笑っていられる毎日が長く続かないことなどわかっていた
坂本も言っていたように、華蓮に与えられた時間はそう長くない
「なーに、辛気くせぇ顔してんだよ!」
「平助君っ!!」
「そうそう、折角の料理も不味くなっちゃいますよ?」
華蓮の両脇に座る藤堂と沖田が顔を覗いてきた
「なんでもないですよ~」
すかさず、笑ってごまかす
「大丈夫ですよ、そんなにすぐみんないなくなったりしませんから」
──っ
コソッと華蓮だけに聞こえるように沖田が囁く
いったいこの人はとこまで見抜いているのか
正直、今はかなり幸せだ
動乱の時代にいるとは思えないほど
でも、だからこそ、今がたった一瞬の幸せなのではないかと思えてしまう
そんな華蓮の複雑な気持ちを沖田は見抜いているのかもしれない
そんなことを考えながら沖田を見やるといつものように笑っていて
「土方さんに、甘い一言でも言ってみたらどうですか?」
なんて言うものだから、またしてやられた、と思う
「っもう!!
沖田さんはいつもそうやってからかうんですからっ……」
華蓮はとっさに目に付いた器を取って中のものを一気に飲み干した
「えっ、蓮さん……それは……」
それはお茶ではなくて、何か喉が熱くなるもので────
華蓮は意識を手放した