神風の如く





──この子はいったいどこまで僕たちの未来を知っているのだろうか



沖田は隣にいる小さな存在を見つめる



華蓮はみんなで集まって話わいわいしている時、決まって何かを考えて込んでいるかのような顔をしていることがある



きっと、楽しいと思えば思うほど、何か引っかかるものがあるのだろう



違う時代を生きる人間だ、そもそも出会えたことが奇跡で、華蓮が悩んだりする必要なんかないのに



例え別れる日が来たとしても……



──僕はそれでいいと思う、だけど









華蓮は違う



平和な時代で生きていた華蓮は、人との別れをほとんどしてこなかったはずだ



ましてや若いから死別することなんかあまり経験していないはず



それを踏まえるとこれから華蓮に襲いかかるであろう出来事に心を傷めた










「土方さんに、甘い一言でも言ってみたらどうですか?」



華蓮にそんな落ち込んだ顔は似合わない



少しでもその不安を忘れられるのなら…








──ははっ、僕も変わったなぁ



もともと他人には興味を抱くことがない沖田は自分の変わりようを笑った






隣を見ると、華蓮が置いてあった沖田の杯をクイッと飲んでいて



「えっ?……蓮さん…それは」



確か華蓮はお酒を飲まないはずだ



飲みたくなったから飲んだのか、と解釈したとき



──トンッ



華蓮が突然沖田に寄りかかってきた






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