神風の如く




目の前にいるのは本当に蓮なのだろうか



これは全員が考えたことだろう




「ちょっと落ち着けよ」



「落ち着いてまふよ!
でも言わないと、ずっと言えないままだもん……

やっぱりぃ……島原のげーこさんみたいに色香がないと構ってもらえないのかなぁ」




──何を言ってるんだ、こいつは?




「…………………」



「寂しくなったら言えって言ったじゃないれすか………

はい、今寂ひいれすっ!」




華蓮はそう言って土方に両腕を伸ばしたのだ



(か、可愛い!!)



みなただただ驚いているばかりだが、土方は一人、困り果てていた



「あのなぁ………」



──こういう時どうすりゃいいんだ?



仮にも今は新年会という酒の席で、しかもこれは局長である近藤が用意してくれたものなのだ



「はいはい、わかってますよぉ
我が儘言ってすみません~

これは真面目な土方さんを好きになった私の責任れすからね………」



あからさまに目に涙を溜めて土方に訴えている



「おいおい、土方さん
泣かせるのはよくねぇぞ!」



「いつも我慢ばっかしてっからなぁ!」



普段から島原に通い詰めている原田と永倉は、モテモテでよく女から文が届く土方を羨ましく思っていた



ここぞとばかりに仕返しをしている



そして、あからさまに落ち込んだ華蓮に土方も折れた




「こ、近藤さん……」



「わかっているよ、今日は蓮君と部屋に戻った方がよさそうだ」



「すまねぇ」




土方はうずくまって膨れっ面をする華蓮を横抱きにして、広間を後にした






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