神風の如く




──スッ



土方は部屋に入るなり華蓮をそっと下ろした



「もう、また戻るんでしょう?
私はいつも通り一人で寝ますからっ」



ぷぅっと頬を膨らませる華蓮に土方は顔をほころばせた



──可愛い、な




「そんなところで優しく笑ってもらめれす!」



普段は絶対にこんなことを言わない



だが、心の中ではまた寂しい気持ちを抱えていたのだろう



「……わかった、今日は一緒にいてやるから」



こんな華蓮も悪くないと思う



「本当に………?」



「あぁ」



答えると、花のような笑顔を見せた



「よかったぁ、私が何かいけないから土方さんは構ってくれないのかと……


恋人なら、それらしくした方がいいのかなぁ………

でも、そんなの私にはできないしぃ」




──クソッ、どうしてこんなに健気なんだよ



「そのままでいい
蓮は蓮だからいいんだ」



土方は華蓮をそっと抱きしめた




「かれん………」



「ん?」



「二人の時は華蓮がいい……」



「……わかった」



そんな華蓮の小さな願いでさえも、とても可愛く思えて



土方は愛しい存在を先ほどより強く抱きしめた










──コイツ、接吻したら寝やがった



土方はため息を漏らす



ここは新撰組の屯所であるから、手を出すつもりはなかったが、土方は面白くなかった



──仕方ねぇ、か



──今日は特別だぞ




土方は華蓮の本音を聞く方法を覚えて眠りについた






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