神風の如く




「きっ昨日はすみませんでしたっ」



宴会で間違えてお酒を飲み、一連の騒動を聞かされた華蓮は、朝餉の時間にさっそくみんなに謝った



「いやいや、面白いものが見れたからよしとしようか」


ガハハと笑い飛ばす近藤



「そうですね、おかげで土方君も清々しいですし」


心なしか土方を弄っているように見える山南



「まあ、甘えん坊っつーのは意外だったけどよ」


おかずである魚をくわえる原田




「可愛いもん見れたしな」


永倉はいつも通り笑っていて




「というか、あのあと土方さんに何かされなかった!?
俺はそっちの方が心配!!」


藤堂は一人全く違うことを言っていた




まさに十人十色とはこのこと



ちなみに井上は涼しく笑い、斎藤は静かに味噌汁を飲み、華蓮の隣に座る沖田は珍しく黙っている




「平助、喧嘩売ってんのか、てめぇは
俺が屯所の風紀乱すわけねぇだろうが!」



「いやぁ、だってさ
土方さん意外と手ぇ早そうだなって思って………」



──え、…………はい?



華蓮は会話の内容に口をパクパクさせていた



「もう、朝からやめてあげて下さいよ
隣にいる蓮さんが見てる方が恥ずかしいくらい真っ赤なんですから」



やっと口を開いたかと思えば、また言わなくてもいいことを言うのだ



「おっ、沖田さん!!」



「何ですか?」



爽やかな顔をされ、華蓮も冷静さを取り戻す



そう言えば、昨日の一番の被害者は沖田かもしれない



「本当にすみません……」











謝っている華蓮はまたなんとも健気に思えて、からかった自分の方が悪かったように思える時がある



でも、それに押しつぶされないように蓋をした



開けたままにすると、気持ちが溢れてしまいそうだから………というのも内緒



「まあ、僕も驚きましたけどね」



なんて言ってまたからかってみるのだ





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