神風の如く
これは嘘ではない
さすがに、沖田さんいい匂い、と言われたときは戸惑った
迂闊にも、本気で優しくしたくなってしまったのだ
みんながいる前なのに
華蓮は言い返す言葉もないのか、うぅ、と目を伏せている
──ま、もう十分かな
「じゃあお詫びにってわけじゃないですけど、雪も積もりましたし、遊びますか!」
「えっ……そんなことでいいんですか?」
が、そんなわけがない
全く覚えていない華蓮に容赦のない追い討ちをかけた
「昨日、蓮さんに抱きつかれ涙目で訴えられたので」
「えぇっ……」
くるくると表情の変わる華蓮を見ては楽しむ沖田だった
──沖田さんてば、本当に意地悪
華蓮は朝餉を片付けながら口先を尖らせていた
新撰組の組長ともあろう奴が雪で遊ぶなんて、と怒る土方の言葉も気にせず華蓮と遊ぶ気満々なのだ
「湊上、これはここでいいのか?」
「あ、はい、ありがとうございます」
今日手伝ってくれているのは斎藤
無口でたまに気まずくなるが、気にしなければその空間も心地よい
華蓮は静かな瞬間もなかなか好きだった
「湊上、」
「はい?」
斎藤から話しかけてくるなんて珍しいと華蓮はすぐに耳を傾ける