神風の如く




「沖田さ~ん!」



華蓮は庭に立って自分を待っている人へと声をかけた



「あ、やっと来ましたね
待ちくたびれちゃいました」



眉をひそめる沖田にすみません、と謝る



沖田は華蓮がお願いしたことを、叶えてくれようとしているのだ



実質、華蓮はその記憶がないのだが、雪で遊びたいのは本心だったので、沖田の気遣いを受け取ることにした



「さて、何します?」



沖田は華蓮が何かをやりたいのだろうと践んでいた



「えっと……今は二人だから………
じゃあ雪だるまでも!」



「雪だるま?」



沖田の頭に疑問符が浮かんでいるのがわかる



「はい、大きな丸い雪の玉を大小と二つ作って重ねるんです!!

さ、やってみましょう」



屯所の庭はそれほど大きくもないが、雪は思ったより積もっていた



これならば問題ない



華蓮は小さな雪玉を作ると、それを雪の上にポスッと置いて転がし始めた



「沖田さん、真似して下さいっ」



「わかりました」




そうして出来上がった大小の雪玉



小さい方を沖田と一緒に持ち上げる




「せーのっ!!」



見事、雪だるまの土台が完成



「これで終わりですか?」



「いや、まだですよ
沖田さんは木の枝と石を数個取ってきて下さい」



これで終わりではない



次は顔や手を作るのだ




「は、はい……」



沖田はまたもや不思議そうな顔をしながらその場を後にする



華蓮はバケツのようなものと、鼻になるようなものを探しに勝手場に向かった












次に戻った時には沖田はもう庭にいて



バケツも人参もこの時代にはなくて、結局小さな桶と大根を代用することにした




「じゃあ、ちょっと見てて下さい」





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