神風の如く




それだけ言うと華蓮は沖田が持っていた石を胴体部分に三つ、それから比較的形のいいものを選んで目にした



残りの枝を丁度いい長さに折って眉毛をつけ、胴体に枝を差して手を作り、鼻としで大根を差した




「最後に桶を被せてっと………
か、完成です!!」



──うん、なかなか上出来



昔、兄とやったことをしっかりと覚えていた



それだけでもとても嬉しく、懐かしく感じて───



「へぇ、これが雪だるま、ですか……」



「はいっ、どうですか?」



幕末の時代の人に、ましてや沖田総司に気に入ってもらえただろうか



そんな心配は無用だったようで、沖田の笑顔を見れば、答えは明らかだった




「はい、とても可愛らしいですね」



これは沖田の心からの笑顔



華蓮は素直に喜んだ




「それはよかったです」








「おーおー、やってるな、お二人さん!」



「原田さん、永倉さん、平助君!」



──本当にこの三人は仲良しだなぁ




「あの、お三方、少しお時間ありますか?」



華蓮はまた一つ楽しいことを思いついた



二人では面白さが微妙だが、五人であれば………









そして、五人は壬生寺に来ていた



「んで、何すんだ!?」



「こう、するんです!!」



──パシッ



華蓮は質問をしてきた永倉に手際よく雪玉を作って投げた



「うおっ」



「ふふ、できるだけ雪玉を被らないように逃げながら攻撃、です」



こういう遊びは武士の魂に火がつくのだろう



説明を終えると華蓮以外の四人もわくわくしているように見えた




「面白そうじゃん!!
やろうぜ」



「平助~負けねえかんな
雪で埋もれるくらい投げつけてやるよ」



「はっ……若い俺が有利に決まってんだろ
新八さんの方こそ自分の心配しろよ」



仲のいい言い争いが始まる



そこへ────



──パシッ



「新八~、隙がありすぎだぞ」



「平助も、とりあえず一発、ですね」



原田と沖田が攻撃開始




『くっそ~』



そうして壮絶な雪合戦が始まった







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