神風の如く




未来から来たただの少女が、武士として土方の隣に立つことを許された瞬間だ




華蓮はその時のことをよく覚えている




「はぁ……勇ましいのか、愚かなのか」



土方も思い出したのか、あの時と同じ台詞を口にした



「土方さん………」



「なんだ?」



不意に今まで胸に秘めていたことを伝えたくなった



華蓮だって、全く不安がないわけがない



特に二人きりになると、余計に話したくなるのだ




「私、新撰組を救って、と言われたんです」



土方が目を見開くのがわかる



「だけど、歴史は変えてはいけない…
矛盾してると思いません?

はじめはみんなの最期に後悔がないようにすればいいのかなって思ってました」



華蓮からすれば新撰組は歴史上の人物



死ぬことくらいわかっていた




「でもそれって私がどうこうする問題じゃないですよね?」



華蓮がいくら頑張ったところで、死に際に後悔しているのか、笑っていけるのかはその人次第だ



むしろ、華蓮が手を出した方が悪い結末になるかもしれない




「それは………そうだな」




冷たく聞こえるかもしれないが、その通りなのだ



振り返ってみたときに自分が思うことっていうのはその人にしかわからない



「だから………私は自分が後悔しない道を行きます」



小雪の言っていた言葉には裏がある



華蓮は内心そう思っていた




そもそも華蓮がここに来た時点で歴史を多少変えてしまっている 



大まかな事件は史実通りだが、それでもやっぱり小雪の言っていたこととは矛盾してると思う




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