神風の如く
「花見ですか……蓮さんは喜ぶでしょうねぇ」
急に口を開くかと思えば、こういうことしか言わない
「えっ…私ですか?」
土方は沖田の一言にビクッと反応した
古株みんなが華蓮を一斉に見る
──お花見……きっとみんなと一緒なら楽しいだろうな
「た、楽しそうですね」
お嬢様である華蓮はお花見というのかいまいちピンと来ないが、何やら永倉たちが楽しみにしているように見えた
「よっしゃ、決まりだな!」
「酒だ、酒が飲めるぜぇ!!」
永倉と原田は大喜び
土方はため息をついて、明日に決行だ、とだけ告げて広間を出て行った
彼はただ真面目なだけだろう
近藤も山南も笑っているので、これでよかったのかな、と一安心
ただ残るのは一つの疑問
「沖田さん、お花見ってなんですか?」
お花見って言うくらいだから花を見るのだろうが、酒、というのと結びつかない
「えっ、蓮は花見を知らないの!?」
突っ込んできたのは藤堂
未来にはお花見はないのかと、しょんぼりした
「あのね、平助君
未来にもお花見はあるよ……私も言葉は知ってるの
でもね、私はやったことなくて……」
耳にするだけで、内容は詳しく知らない
──春に庭で行うパーティーと同じカンジかな
「蓮さん、お花見とはみんなで桜の木を眺めながら食事をすることですよ
まあ、新八さんたちはそれよりもお酒を飲む方が重要みたいですけどね」
──うーん、やっぱり似たようなカンジなのかな
「うっせぇ、総司
てめぇだって、花より団子じゃねぇか!」
沖田は新撰組きっての甘味好き
それは納得した
「そうですけど………僕は正直花より甘味の方が好きですもん」
当たり前のように肯定するところがなんとも沖田らしい