神風の如く




──あ



華蓮は一つ思いついた



「あの、花見ということはお酒の肴も必要ですよね?」



「あー、まぁ、そりゃないよりある方が嬉しいけどな」



原田が軽く答える



「じゃあ、私はその支度をしますね
お弁当というものを作ってみます!!」



華蓮はそれだけ言うと勝手場へ急いだ












「言ってみたはいいものの、何を作ったらいいんだろう?」



肴だけではお腹は満たされないだろうからちゃんとした料理も必要だ



それに外で食べるなら食べやすくて、みんんなで分けやすいもの………



「うん、あれしかない!」




華蓮は昼餉、夕餉の分も考えて食材がおるかどうか確認する



最近、買い出しに行っていないから思った通り足りそうになかった












「土方さん、買い出しに行きたいです」



華蓮は部屋に戻り、外出許可をもらいに来ていた



「何か足りないのか?」



土方が座る両脇には大量の書類



明日一日空けるために、今頑張っているのだ



無責任にも、楽しそうなんて言ったことを申し訳なく思う




「はい、今日の分だけでもギリギリで、明日お花見をする食事や肴の分が……

あの、私が勝手に言ったせいで、お仕事早く片づけなくちゃいけなくなったんですよね………」



華蓮がそう言うと土方は持っている筆を置いた



「ったく………お前は正直に言っただけだろうが、謝る必要なんてねぇ

それに、俺もあいつらの希望を聞いてやろうと思ってたところだ」



「そ、うですか……
なら、土方さんも楽しめるように頑張ってお弁当を作ってみます!」



きっと真面目な土方は花見の時まで仕事のことで頭を一杯にしているだろう



そんな彼が少しでも、心を休めるように…



「ああ、楽しみにしてる」



土方はフッと笑った






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