神風の如く
──ぎゅっ
「おっ、沖田さんっ!?」
急に沖田の腕が伸びてきて、華蓮を包み込んだ
いくらなんでも、いい状況ではない
「大丈夫ですよ、これくらい土方さんは怒りません
それに僕も震えている女の子を放っておくほど冷たくないですしね」
華蓮の手は震えていた
自分でさえ気づかなかった震えを、沖田が包み込むようにし、頭を撫でてくれていた
大丈夫、大丈夫と子供をあやすかのように
気がついた時には、声が聞こえなくなり、夜だったのが朝になっていた
「沖田さん………?」
華蓮はいつの間にか眠ってしまったようで、沖田に寄りかかる態勢だったことに気がつく
「あ、蓮さんおはようございます」
いつもと同じ笑顔に一息ついた
「声がしなくなったということは、桝屋の主人はしゃべったみたいですね」
──じゃあ、土方さんは五寸釘を使ったんだ
土方は古高を拷問する際、五寸釘を足の裏に刺し、そこに溶かした蝋燭を垂らしたと言われている
想像しただけでも恐ろしい
「あ、あのありがとうございました」
不本意ではあったが、沖田がいてくれてよかったと思う
一人だったらと思うとまた体が震えた
「いえいえ、まあ言うのもアレですし、鬼さんには内緒ってことにしましょう」
「えっ!?
怒らないなら大丈夫では?」
途端に黒い笑顔になる
「う~ん、さすがに一晩中一緒だったとバレたら確実に僕の首がなくなりますね」
──しまった、はかられた!
そう言われては内緒にせざるをえない
よく考えてみれば華蓮にも非はある
罪悪感でいっぱいになった
「わかりました………」
「じゃあ、行きましょうか!
そろそろ会議が始まるはずです」
沖田は気分よさそうに部屋を出て行った