神風の如く
──頼むから、無事でいてくれ
土方はめったにしないが、他力本願に願った
池田屋に入ると、生臭い臭いが鼻につく
そうとう酷い有り様だった
「近藤さん、新八!!」
「ああ、歳か」
二人は無傷のようだった
「遅くなってすまねぇ
蓮と総司と平助は?」
「それが三人共二階に上がってまだ降りてきてねぇんだ」
永倉が説明する
その言葉を聞いて、背中を冷たいものが伝った
しかし、その時
華蓮と藤堂と二人に支えられた沖田が現れた
「蓮っ!!」
沖田はいい状態ではなさそうだが、ひとまず安心した
「総司はどうした………!?
って、お前その姿は!?」
驚いた、なんてものじゃない
華蓮の瞳は青く、彼女の周りには風が守るかのように吹いていたからだ
そんな土方の様子にも構わず、華蓮は神々しい姿で風を操っているように見えた
そして、気づけばといつもと同じ姿で隊士たちの手当てをしていて
──まあ、必ず説明してくるだろう
土方は華蓮の身に何が起こったのかわからないまま池田屋を後にした