神風の如く




「えっと、その………
まずは勝手なことをしてすみませんでした」



一連のことについて話したいと華蓮は古株の幹部に声をかけた



幸い、華蓮のあの姿を見たのは近藤、土方、永倉、藤堂、沖田だけだったため、古株だけにしかまだ知られていない



「いや、いいんだ
未来から来た蓮君には何か思うところがあるのだろう?」


近藤は優しく答える



──本当に、わかってくれる人たちでよかった



「はい、少し長くなりますが、聞いて下さい」







華蓮は、この時代に来るきっかけとなった小雪──時を司る神、メルラータのこと



そしてメルラータの本音と、華蓮が正直な気持ちをぶつけたこと



そこで自分にはある力があると知り、ずっと考えていたこと



そして先日の池田屋事件で覚悟を決めたことを包み隠さず全て話した




「つまり私は歴史を変えたんです

だから、元の時代に戻ることはできません」




最後の一言に幹部全員が衝撃を受けた





「お前っ、そうまでしてどうして…」



土方は眉をひそめる



「私にとって、この時代が、新撰組が未来より大切になっていたんですよ

単純な答えです


そして、これから先は、なぜ私が歴史を変えようとしているか

それについてお話します」



いろいろツッコミたいところがあるが、みんなは黙って華蓮の話を聞くことにした




「ハッキリ言います

この後、幕府は朝廷に全ての実権を返還し、なくなります」



「なっ………」



みんなの表情が一気に暗くなる



──それでも、今言わなければならない




< 273 / 300 >

この作品をシェア

pagetop