神風の如く




華蓮の話しぶりに誰もが驚き、何も言えずにいた



この小さな少女は、どこまで見えているのか、と────



「あの、その……わかってます
私の考えが甘いことだって……
風の神ウェオロスにも言われてしまいました……

それでもあきらめたくないんです

私は新撰組と、みなさんと出会ってしまいました
黙って行く末を見てることなんてできなくなったんです

だから少しでもいい未来が作れる可能性があるなら、それに賭けてみたい、そう決意しました


ですが、それは私の勝手な思い込み…
もしかしたら史実よりみなさんに辛い思いをさせてしまうかもしれません

それを踏まえるとやっぱり、ごめんなさいとしか言えません……」



華蓮の力で新撰組を攻撃させない自信は多少ならあるが、みんなが幸せになれるかどうかは保証できない


これは大きな賭けなのだ




「顔をあげてくれ」


そんな華蓮に真っ先に声をかけたのは近藤


近藤は幕府に一番思い入れがあるから、一番反対されるだろうと思っていたのに、予想に反した笑顔だった



「君のような、まだ幼い女子がそこまで考えていたとは……私もまだまだだな

一人で散々悩んだんだろう?
すまなかったね、一人でこんなに大きな荷物を抱えさせてしまって……」



「近藤さん………」



優しい言葉に涙が出そうになる



「私は幕府も大切だが、一番大切にしたいのは新撰組とここにいるみんなだ

今、蓮君の話を聞いて改めて思い知らされたよ」



それを聞いていたみんなも表情が明るくなる



恐らく他の幹部たちも近藤の出方をうかがっていたのだろう



華蓮もまた安堵した





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