神風の如く




──スッ、ピシャン



華蓮の方が先に部屋に入ったのだが、後から入ってきた土方の行動がどうみても怒っているようにしか見えない



そのまま二人は向かい合うようにして座った



─────……



それなのに土方は口を開くどころか、華蓮を見てすらいない



その空気に耐えられなくなったのは華蓮の方だった



「ひ、土方さん………?」



「あぁ、クソッ………
どうもイライラしやがる

なんでお前は俺達に何一つ言わないで行動してんだっ!!」



土方は少し怒鳴る



「す、すみません……」



華蓮としては言い返す言葉がない



「まあ、なんとなく様子がおかしいことには気づいてたが、お前が話し出すまで待っていようと思ってだな………

って大人しくしてれば、とんでもねぇことを言い始めやがって」



「あ、土方さんは反対でしたか……」



確かに現実主義の土方にとって、華蓮の考えは無謀としか取れないだろう



「そうじゃねぇ!!
一言も相談されなかったことに腹が立ってんだよ!

ったく、俺はお前の何なんだ……」



そう、男心をわかっていないのは華蓮の方だ


頼らずに全て一人で決めてしまった華蓮が悪い



「私にとっての土方さんですか?
私の大好きな人に決まってるじゃないですか」



「なっ………」



華蓮の答えに土方は動揺を隠せない



「わかってて聞いているんでしょう?
土方さんは今の私にとって一番大切な人です

そんな土方さんがいて、大好きな仲間がいる新撰組を守りたい、ただそれだけです

女だって戦う時は覚悟を決めます」



この言葉に嘘偽りはない



思い切っていうと、土方はため息をついた



「はぁ……総司の言うとおり一つや二つは言ってやろうかと思ったが、逆に言われちまったじゃねぇか……

っんと、お前にはかなわねぇよ、華蓮」



トンッと土方の頭が華蓮の肩に乗るようにして引き寄せられた




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