神風の如く
急に恋人らしい雰囲気になり、華蓮の胸が跳ねる
「わ、私も土方さんに勝てたことなんてにいですよ……
いつも考えてること見抜かれてしまうんですから……」
そして華蓮も背中に手を回す
「そうか………それなら、もう隠し事をするな
どうせすぐにバレるんだろ?」
お互い顔は見えないが、どういう顔をしているかわかった
華蓮が尋ねる前に土方が続ける
「お前、手立てがあると言ったな
それは何だ、誰だ?」
──ほら、やっぱりかなわない
きっと華蓮が嘘をつくのが下手とかではなくて、土方の勘が鋭いのだ
「さ、坂本龍馬です……」
「だろうな」
「えっ!?」
絶対に、ダメだ、とかそれだけは許さない、とか言われるのを覚悟していたから、だろうな、は予想外だった
「ここに来て俺達以外の知り合いで頼める奴なんか、あの坂本くらいだろ」
確かにそう言われると、バレるのも納得した
「ですが、みなさんには内緒にして下さい
坂本さんには内密で考えておいてくれと言われています
それを破ったとなれば、全て流されるかもしれません」
「何を考えてくれ、と?」
華蓮は土方の体を離す
顔を見てわかった
──土方さんは全部聞き出すつもりだ
「もう、破っちまったんだから全部言え
あいつらには黙っといてやる」
華蓮は大きく息を吐いた
「坂本さんには新撰組を強くしろと言われたんです
それは剣術ではなく、立場のこと
私なら歴史を知っているからできるだろうと……
そして、坂本さんの狙いは……恐らく平和的解決なんです
立場の強くなった新撰組、長州、薩摩、土佐を合わせて、武力行使する前に会津を含めた幕府軍を黙らせる………
無駄な殺生は嫌いという坂本龍馬らしい考えだとは思いますけど」
坂本も華蓮に出会い、考えを改めたと言っていた
それを少しでも信じたい