神風の如く
華蓮が言い終わったはいいものの、土方が黙ってしまったのが気になった
「それは……俺達が反幕府派になるということか……?」
新撰組は現在、京都守護職
しかし元を辿れば幕府を守るために作られた組織だ
土方が渋るのは無理もない
「わかっていますよ……私も長州と手を結ぶなんて考えていません」
近藤をいきる道筋としている土方としてはそんなこと了解できるはずがない
「どういうことだ?」
それなら道は一つ
「私はその仲介役になるつもりです
もちろん、坂本龍馬と一緒に」
「仲介役……?」
「そうです、始めにこの話を持ちかけられた時は無理だと思いました
私は力のないただの小娘で、新撰組の一隊士にすぎませんでしたから……」
だけど、この手の力は違う
これは新しい道を切り開くことのできる力なのだ
「ですが、今の私は意見を主張できます
自信を持って、幕府にも長州にも間違っていると言うことができます」
「なるほど、な……」
この方法なら新撰組も、幕府の人間も、長州も、民衆も守ることができる
「ただし、そのためには……」
「準備が必要ってわけか」
土方はニヤリと笑う
「やっぱり全部わかってるんじゃないですか……」
華蓮は言わされたことの悔しさと、後悔でフイっとそっぽを向く
「拗ねるなよ………」
耳元で熱く囁く
その声は熱となって全身に響いて──
いつの間にか口下手からこんなにも華蓮を弄ることが上手になってしまったのかと華蓮はまた一つ学んだ