神風の如く
神風の如く
後日、華蓮は局長、総長、副長に呼び出されていた
「近藤さん、どうなさいますか?」
土方と話したあの日
「近藤さんには今後のことを決めてもらわなくてはいけません
この先、史実では新撰組は幕臣となってしまいます
そうすれば、長州や薩摩と戦うしかありません
しかし、今なら京の町を守る、守護職を貫き通すことができます
私はその立場を強くし、間に立って、幕府も会津藩も死なせないようにしたいのです」
一度幕臣という立場になってしまったら、戦うしかなくなってしまう
そうならないためには近藤ら幹部の上に立つ人間に動いてもらわなくてはいけない
ただ、武士として幕府の元で働く近藤には酷な選択だろう
「ですが、武士になれないわけではありません
これからの戦いに武士の魂、誠の精神は必要なんです
それだけは忘れないで……」
「……わかった、俺から近藤さんに伝えてみる」
土方は意外にもあっさりと承諾した
「え………いいんですか?」
「俺は元々幕府なんぞどうでもいいんだ
近藤さんと、この新撰組が守れるなら立場なんか気にしねぇ」
土方は近藤をトップに据え、新撰組を大きくすることを目的としている
だから華蓮の提案に異存はなかった
「近藤さんも、あいつらも、お前も、町のやつらも守れるならなんだってやってやるさ」
「ふふ、私もです」
そう言って抱きしめてくれる腕が優しかった