神風の如く
翌日、ある紙を持って華蓮、原田、永倉、藤堂の4人は町の中心に来ていた
もちろん、いつもの浅葱色の隊服ではなく、町人の格好をし、華蓮は女物の着物を身にまとっていた
「では、昨日教えた手筈でお願いします
くれぐれも新撰組だとバレないでくださいね!!」
『おうっ!!』
そして4人は手に持っていた紙を通りすがる人々に配っていく
「さあさあ、いきなり京の町に現れた新撰組!!
先日は池田屋での乱闘がありましたが、皆様はその真実を知りたくはありませんか!?
私どもが調べた新撰組の真実!!
どうぞご覧あれ!!」
華蓮の大きな声と共に、なんだなんだと人が集まっていく
この時代の人々はネットやテレビではなく人から聞くことで情報収集をするから洗脳しやすい
だから、紙に少しだけ盛った新撰組の活動の意図を載せ、町人に配っている
ただし、決して嘘は言っていない
本当は心配だったが、顔の知られている沖田や土方には頼めないので、仲良し三人を連れて行くことにしたのだ
「へぇ、新撰組は京の治安を守るため、ねぇ……でも信じられへんわ」
そんなことをポツリと言う女の人の元へと駆け寄った
「聞いて下さいよ、私もね最初は信じられなかったんです
でも、浪人に絡まれたところを新撰組に助けられて……
それからいろいろかぎまわったら、池田屋での出来事も町が火の海にならないようにするためだとか!
ちょっと見直しましたよ~」
「そうなんか……うちもちょっと誤解しとったかもしれへんね」
──よしよし、順調だ
4人は用意した紙300枚を配り終え、屯所に戻った
「お疲れ様です、ありがとうございました」
仮にも副長助勤たちに手伝わせてしまったのだ
罪悪感はある
「いや~あれだけで、あんなにいいように思われると気分もいいな」
照れているのか、自分の頭に手をあてる永倉
原田もなんだか嬉しそうだ