神風の如く
「だよなっ、でも、蓮は口が上手いよ
あんなに上手くいくとは思わなかったし」
「そんなことないよ、平助君たちが気前良さそうに配ってくれたから、町人たちも気兼ねなく話を聞いてくれたんだよ!
後は私の風の力で噂を広める──……」
華蓮は辺りに誰もいないことを確認して、意識を集中した
「あれ、目の色は変わんねぇのか?」
一度もその姿を見たことがない原田は不思議そうに尋ねる
「これくらいのことなら、大丈夫なんです
それに、姿が変わるのはよっぽど力がいるとき──私はあまり使いたくありません
人間ではなくなってしまうみたいで…」
これは近藤たちにも伝えたことだ
できるだけ、大きな力を使わないようにしたい
この力を使えば使うほど、人間離れしてしまうような気がしていた
「なぁに言ってんだか!
蓮は蓮だろ!?
未来から来て、不思議な力を持ってたとしても間違いなく俺達の仲間だ」
「平助の言うとおりだぞ
これからもよろしく頼む!!」
原田は華蓮の頭を撫でた
「……はいっ、ありがとうございます!」
華蓮はスッキリした気持ちで笑った
一方、土方たちは隊士に対して、ある指導をしていた
「これから改めて巡察に行くときについての注意事項を言い渡す
町人たちが怯えるようなことは言わないこと、無闇に刀を抜かないこと……それらを踏まえて町の治安を守るため動け
それから、できる限りでいい
隊務以外で外に出るときは愛想振りまいとけ」
(は?)
隊士たちは驚いたであろう
一番できなさそうな人に言われたのだから