神風の如く
「やっぱりそうなんですか……
じゃあ一つ教えてあげます
てめぇら、町人を巻き込んで何がしてぇんだよ!?
そこまでして権力が欲しいんか!?
言っとくが、その町人にてめぇらの家族や恋人がいたと考えてみろ
それでもてめぇらは武士か!?
関係のない人々を巻き込んだら、今度はなんの関係もねぇ、てめぇらの家族が殺されるぞ?
今回の計画が実行されるとして得られるモノはなんだ?
結局てめぇらの守りたいモノってなんなんだよ!?」
華蓮の言葉に次々と藩士たちが顔を上げていく
「京の町人を殺して、誰かが喜んだとして、それはてめぇらにとっても嬉しいことなのかよ!?」
この言葉はこの時代の人にとって酷だ
わかってはいる
この時代では、言われたことは実行するのが当たり前
殺したくなくてもやらなければ、こちらがやられてしまう
そんな悲しみの連鎖を繰り返す時代なのだ
「私たち新撰組は何の関係もない人々を巻き込んだりしない
不当だと思うことは不当だと斬り捨てる
それが大事なモンを守る、武士の魂ってモンだろうがっ!!」
華蓮の言葉は頑なに幕府を倒したがる長州にどこまで響くか
これは試していることでもある
「さあ、ここで逃げ帰って罪のない人々を手にかけて大切な人を守るか、死んだことにしてここで日本を変えるか選べ!!
まあ、上手いけば終わった後に会えるだろうよ
逃げ帰っても罰を受けるか、家族が痛い目に遭う……死んだことにすれば立派な戦死
新撰組になるのが嫌なら今すぐ帰ってもぜんぜん構わない
その代わりこんな変わった奴がいるって報告頼むぜ?」