神風の如く






元治元年七月



池田屋で捕らえた元長州藩士や、新撰組のいい噂を聞きつけて入隊し、少し隊士は増えていた



もちろん、元長州藩士のことは包み隠さず他の隊士たちに話した



だが、そう簡単に受け入れるはずもなく、華蓮が手を打った



元長州藩士たち全員に話をさせ、土方が華蓮の方針を代弁する



心打たれた隊士たちは、意外にもあっさりと受け入れた



そして、元長州藩士がいるとか、内部闘争が起こった場合には島原や飲み屋で遊ぶ金を渡さないと言いつける



つまり減給と、謹慎



それで十分なのかと疑問に思ったが、隊士たちには随分と影響しているようだった




「結局、男ってそんなものなのね……」




「それはあいつらだけだ
俺も一緒にすんじゃねぇ」



部屋でポツリと独り言を言うと、土方が入ってきた



「えっ、土方さん!!
もう、気配を消すのやめて下さい」



池田屋事件が落ち着いたはいいものの、すぐに次の出来事が待ち構えている



そうやすやすと二人の時間は取れなかった



「お前が心外なことを言うからだ
訂正しろ、俺は別だ………華蓮」



───っ



いつの間にか少し意地悪っぽくなってしまった土方は華蓮の手に負えないほどになっていた



そして、二人きりになると男名ではなく、本名の方を呼んでくれるのだが、それにも慣れない



「わ、わかりましたっ
だから……はっ離して下さい…………」



壁側に押し付けられるような体勢になっていたことに気づき押し返す



フッと鼻で笑いすぐに離す土方



「華蓮、今日の仕事はもういいからこれを着てこいよ」



やけにすぐに解放してくれたと思ったら、今度は綺麗な着物を渡された






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