神風の如く
それは潜入捜査で島原の芸子になったときの着物ほど派手ではなかったが、とても素敵だった
何より色
──水色?
「気に入らなかったら悪いんだがな」
まさか、そんなわけない
「いいえ、嬉しいです
土方さんが選んでくれたんですか?」
透き通るかのような、水色に派手にならない程度の小花たち
後者はあの時と似たようなデザインだ
「ああ、お前……赤も似合うが、俺はこっちの方がいいと思ってな
何と言うか……その、お前の真っ直ぐなところにその色が合わさるというか」
土方は照れているのか右手で顔を隠す
「もらって……いいんですよね?
どうしよう、とっても嬉しい!!」
華蓮は着物をぎゅぅっと抱きしめた
「おい、早くそれに着替えろ」
「は……い?」
今日は何かあっただろうか
華蓮は普段屯所では男装をしているから着物なんてめったに着ない
「今日は祇園祭だろうが
一緒に行くから着替えろって言ってんだよ」
「えぇぇっ」
これはいわゆるお誘いなのか、華蓮は混乱しながらも部屋の死角で着替え始めた
そう言えば一年前、土方とお祭りの話をしたような気がしていた
「あの……もしかして土方さん、覚えていてくれたんですか?」