神風の如く




着替え終わった華蓮は、他の隊士たちにバレないように、土方と屯所を出た



「あれ、土方さん?
どこに行くんですか~?」



こういうタイミングに必ずと言っていいほど現れる人だから、華蓮はもう驚かなくなっていた



「沖田さん………みなさんも」



さすがに藤堂や永倉、原田に斎藤まで揃っているのは予測できなかったが……



「へぇ、蓮よく似合ってるよ!!」



「ありがとう、平助君」



永倉や原田も同じようなことを言ってくれるが、華蓮は隣にいる土方の機嫌が曇り始めたことが気になっていた



「確か、今日は祇園祭でしたね
それでそんなに綺麗に着飾った蓮さんとこっそり抜け出していたわけですか……」



沖田は土方の様子なんかお構いなし



ニヤリと黒く笑って土方の反応を待っている



「どうせわかってて待ち伏せしてたんだろ?」



いつもなら、総司ぃぃいいいと怒鳴り始めるところだが、時と場所を選び土方は円満におさめた



「屯所には近藤さんと山南さんがいる
行きたい奴は来い」



『えぇっ』



チッと舌打ちをした後、土方が言ったことに斎藤以外の全員が驚きの声をあげた



「ひ、土方さん!
いいのかよ!?」



大の祭り好きである藤堂は突然の出来事に再確認した



「黙って行くつもりだったんだろ?
ならせめて把握しといた方がマシだ」



『やった~!!』



仲良し三人組は大騒ぎ





「なんだか、大勢になっちまってすまねぇな」



土方は申し訳なそうな顔をして笑った



「大丈夫です
みんなで行くのも楽しそうですから」



本当は二人きりでもよかったのだが、これ以上望むのは都合が良すぎる



それに楽しそうと思ったのも事実だった






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