神風の如く
そして、華蓮たちは祇園祭にやってきた
──ガヤガヤ
──ワイワイ
普段よりも提灯などで明るくしてあり、祭りは盛り上がっていた
「すごく綺麗………」
祭りというものに来たことはないが、都会の街並みの明るさよりも、断然魅力的だ
「今年も賑やかですねぇ」
後ろを歩く沖田は既に甘そうな食べ物を両手に持っている
「よかったですね
大好きな甘味を食べることができて」
「蓮さんもいりますか?」
はい、と差し出されたので何も考えずにパクリと食べてしまう
「あ……おいしいですね!」
またもや現代にはあまりない味
──こうやって一つ一つ、慣れていって、この時代の人になっていくんだろうな
池田屋で死ぬはずだった平隊士を助けたため、もう未来には戻れないはず
まだ小雪に会って言われてはいないが、ほぼ確実だ
「おい」
祇園祭もだいぶ見終わったころ、土方に急に手を引っ張られた
そしてそのまま、沖田たちとは離れ、別の方向へと歩いていく
「土方さん!?
はぐれちゃいますよ、どこに行くんですか!?」
「いいから少し黙ってろ」
繋がれた手に熱を帯びる
どこへ向かうのか考えながらも二人きりで歩いていることに喜びを感じていた