神風の如く
「代償は自分の存在、か」
「えっ!?」
──なぜそれを?
風の神ウェオロスとの契約内容を知っているのは小雪とウェオロス、華蓮だけのはずだ
「お前がその力を得るためには、自分の存在を未来から消す必要があった
その神の力とやらを使って歴史を変えるから………違うか?」
土方は遠くを見つめていた
「そうなんですけど、ちょっと違います
私はもともと風の神の力を持って生まれたそうです
私をこの時代に呼んだ理由の一つが力だと言われました」
どうしてそんな力を持って生まれたのかはまだ謎だが、それでもこの力があったからこそ出会えたのかもしれない
「この力があってよかったです」
二人の視線が絡み合う
「土方さんに会えましたから」
「……俺もその神様って奴に感謝しねぇとだな」
そう言って抱きしめる土方の腕が優しくて、このままずっとこうしていたいと思う
何年先もずっと………ずっと
「華蓮、もう未来に帰れないとしたら、お前の帰ってくる場所は新撰組の………俺の隣だ」
───っ
土方の紡ぐ言葉が嬉しくて、涙が出そうになる
体も震えているような気がした
「お前が逃げようとしても、逃がしてなんてやらねぇ
一生俺のモンだ………それでもいいか?」
──ずるい、そんなの答えなんてわかっているクセに…………
「……はい」
二つ返事をすると土方は微笑んだ