神風の如く




真っ黒の空に、現代よりも星が綺麗に輝いている



下を見下ろせば、賑やかな祭り



そんな高台に二人、いつか手にしたい未来へと想いをはせて







「土方さん、私も一ついいですか?」




「なんだ?」




──私、本当に変わったな



たった一年、幕末にタイムスリップしただけで……



思えば一年前は大事なこと一つ自分で決められなくて、ただやれと言われたことを機械のようにこなしていた



学校の友達なんかも、上っ面だけの…家柄だけの関係で、今から思えばもしかしたら嫌気が差していたのかもしれない



そんな華蓮が、元の時代の自分を捨ててまで、守りたいと思い、一緒にいて欲しいと望んだ



ここに来たから変われたのかもしれない



自分のことを他人事のように言うようだが、今の方が人間らしい自分であると感じていた








だが、華蓮の決意は一人のものではない



同時に何人もの命がかかる可能性だってある



──失敗して逃げ出す、なんてわけにはいかない



ただし勝負は真っ正面から



何枚もの手札を両腕に抱えて……



その覚悟が今の華蓮にはあった



──私一人じゃできなくても、みんなと…土方さんと一緒なら






きっと──────






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