神風の如く




華蓮は意を決して土方を見る



この一言は重いだろう



だが、どうしても言わなくてはいけない












「この先、何があっても私と一緒に戦って、乗り越えてくれますか?」












──私もずるい



わかっていた



土方は断ることなどないと



だが、これは言葉にしないといけない気がしていたのだ



未来を変えていけばいくほど、真っ白な状態から作らなければならないこともある



今はまだ歴史通りだから華蓮は先を読むことができるが、この先はわからない



常に最善の道を行くことは難しくなるだろう



土方が断らないとわかっていても、多少の不安はあった






「……そんなことか
あたり前だ、戦う覚悟なんざ、とっくにできてる

これからお前一人で背負い込むには大きすぎるモンもあるだろう

俺も一緒に背負ってやる」



やっぱり土方は華蓮のことなどほとんどお見通しなのだ



だから、お返しに



「みなさんと一緒に必ず生きてみせます」



と土方の腕を掴んで、彼の頬に口づける



さすがに驚いたのか、数秒固まっていた







「はっ、随分と大胆になったじゃねぇか」



しばらくすると、妖艶に微笑んだ土方が目の前にいて……



後悔しても後の祭り



二人の間に穏やかな空気が流れたまま、屯所へと戻った






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