神風の如く
そろりと入り、襖を閉める
土方の──副長の部屋は一人では少し大きいぐらいのスペースがあって、確かに華蓮が使っても大丈夫そうだった
「あの……なんだかすみません、お部屋まで使わせてもらって………
お、お世話になります」
華蓮にとって土方はまだ怖い存在であって、話しかけるのは勇気のいることだった
少しの沈黙にも耐えられず、下を向いていると土方が華蓮の方に向き直す姿勢になるのがわかった
慌てて顔をあげる
「いや、気にしなくていい
それより、お前の……その、未来から来たことというのは何としても隠し通せ
まあ、ここにいる限りはさらわれたりなんかしないと思うがな」
相変わらず、眉間に皺がよった顔は変わらないが、口調は柔らかだった
「わかりました、荷物も二度と使わないように隠します」
「そうしてくれ………それから」
華蓮は土方を真っ直ぐに見つめるが、土方は視線をずらす
「……はい?」
はぐらかされると余計に何を言われるのか気になる
「あのような態度、すまなかった……」