神風の如く





いきなり少し頭を下げた土方





この人、謝ることとかできるんだ……





華蓮は失礼ながら、そんなふうに思った







そういえば、沖田が───





──あの人は真面目ですから───





と言っていた気がする






確かに、悪い人ではないかもしれない






「いえ、そんなこと……大丈夫です
私も信じられませんでしたから」





華蓮は少し微笑む





その場に温かい空気が流れたとき






「土方さ~ん、そんなこと言いたかったんですか~?
それならもうちょっと眉間の皺を緩めないと、怖い顔ですよ?」





華蓮の後ろから、黒い笑顔を作っているであろう沖田の声がした






後ろを振り向くと、案の定ははっと、笑う沖田






華蓮はなんだか急に背筋が寒くなり、土方を見る






「総司いぃぃぃぃ!!」





土方の額には完全に青筋が見えていた






「はい、なんでしょう?」





それにも関わらず、涼しい顔に華蓮は完全にこの状況を楽しんでいるんだろうと確信した





「なんでしょう、じゃねぇ!!!!!!!!
てめぇは何度言ったらわかるんだ!!
勝手に部屋に入るな!!!」





怒りを露わにしている、これこそまさに、鬼、だ






「土方さん、気づかなかったじゃないですか~
よっぽど蓮さんに気を取られてたんですね」






鬼の副長相手にここまで言えるとなると、土方よりも沖田の方が恐ろしい気がした






「あ、あの……どうか、落ち着いて──」






「蓮、茶持って来い!!」






沖田との喧嘩口調のまま、土方が華蓮に言い放った






「あ、はい!すぐに持ってきます!」






華蓮は反射的に返事をした






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