神風の如く
一方、土方の部屋で─────
「土方さ~ん」
「なんだ総司、仕事の邪魔をするなら今すぐ出て行け」
沖田が訪れていた
「やだなぁ、そんなに冷たくしなくても、試衛館からの仲じゃないですか~」
土方と沖田、それから近藤や他の幹部の数人も天然理心流という同門である
「何の用だ?」
土方は沖田の言いたいことが重要かもしれないと、その表情から読み取った
「蓮さんのことですよ…」
「あ?、お前が他人の心配なんて珍しいじゃねぇか
どういう風の吹き回しだ?」
沖田は物腰だけは柔らかいが、剣を持つと別人のようになり、男だらけの新撰組の人間の心配などはあまり口に出さない
「そんなふうに言わないでくださいよ
僕だって、普通に誰かを心配するくらいできますし」
沖田からすれば、新撰組の奴らは心配するほどに値しないらしい
それに対して華蓮は女だ
そうだと知っているだけで、嫌でも気がかりにはなるだろう