神風の如く
当たり前だが、華蓮のことを信用していないわけではない
だが、彼女がこの先の未来を知る人物だとしたら………
長州などの倒幕派に渡すわけにはいかず、野放しにはできなかった
「僕、あの子が屯所内で仕事以外のことをしている所、見たことありません
最近では疲れた隊士たちの仕事をも引き受けているとの噂です」
沖田の目は真剣だった
「山崎はそんなこと一言も言っていなかったがな」
そもそも、山崎みたいな真面目な奴が、怪しい動き以外のことを報告してくるようには思えないが…………
──バンッ
いきなり沖田が畳を叩いき、驚いてその表情を見る
「どうして、土方さんはあの子と同じ部屋にいながら、気づいてあげようとしないんですか!!!!
あの子は女子というだけではなく、この時代の人間ではないんですよ?
それがどういうことだかわかりますか!?」
かなり怒っているが、表情は悲しそうであった
「誰一人、信用できる人が……心から頼れる人がいないんですよ…………」
そういえば、沖田は幼いころに両親を殺され、唯一の家族だった姉とも引き離されて試衛館に来た
その頃の沖田はかなり塞ぎ込んでいた
その扉を開けたのは近藤で、沖田は近藤のことをとても慕っている
「だから、蓮さんは今必死に帰れない不安を抑えながら僕たちに認められるように頑張っているんだと思います」
沖田の言葉で土方はここ一週間の華蓮の行動を思い出した