神風の如く






「それで、その傷か…………」





土方はおもむろに華蓮が斬られた左腕をとった





「あの、沖田さんは悪くないんです!!
むしろ沖田さんがいなかったら私きっと死んでいましたから………
だから、その………………」





「あぁ、もうわかった
総司を怒るなと言いたいんだろ!?」





ため息を一つすると、土方は頭をかいた





「怒れやしねぇよ、元と言えば俺がお前に巡察に行け、なんて言わなけりゃお前に怪我させることなんてなかったんだ」





土方は悲しそうに目を伏せる





どうして、どうして、ここの人たちはそんなにも自分のせいにするのだろう?





明らかに誰が悪いとかではない、強いて言えば、悪いのは不逞浪士だ





いきなり襲いかかってきて、一人相手に五人だなんて────





それで、死なずに勝っただけで、本当にすごいと思う







しばらくして、山崎を連れた沖田が戻ってきた  





山崎は医学の心得があるらしく、治療にも慣れている、とのこと





幸いにも、華蓮の傷は出血の割に浅く、少しすれば治るとのことだった






「すみません、土方さん……もちろん、蓮さんも」





山崎が部屋を後にして、また沖田に謝られた





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