神風の如く






どうして────?





「あの、本当に気にしないで下さい
この時代はそういう時代なのでしょう?」






幕末は治安の悪化した、決して安心できるとは言えなかった時代





それを華蓮も承知の上で巡察に同行したのだ





「それに、私は沖田さんを……一番隊のみなさんを守ることができたんですよね?」





自信はなかったが、聞いてみた





「それはその通りですよ
あそこで蓮さんが大男を振り切っていなかったら、捨て身で庇いに行く覚悟でしたから………」




沖田は笑って答える





「なら、本当によかったです
お役に立てて嬉しいです」




これは華蓮の本心だった





「それに私は十分沖田さんに守ってもらいましたから…………
ありがとうございました、沖田さん」






「いえ…………そんな、こちらこそ」






そんなわけのわからない会話になり、お互いに笑った






この人たちは、この場所を守るために、日本を、幕府を守るために戦っている






ならば、私も────





守られているだけというのは嫌だ






ここにいる間は、ここにいる人たちを守っていきたい





華蓮は心からそう思った






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