偽フィアンセは次期社長!?
何だかどっと疲れながら、アパートの前まで着く。


「本当にここです。

どうもありがとうございました」


……この期に及んでお礼を言えるあたし。ちょっと表彰されてもいいと思う。


去り際にもまた酷いこと言われるんだろうな、と身構える。


「あ、そういや、何でお前が赤ずきんって分かった、って聞いてきただろ?」


「あ……はい」


「あれな……」


……?


優しげな空気。あれ?


オオカミ課長が、あたしを柔らかく見下ろしている。


……うん、そうやって静かに優しく微笑んでいると、本当に本当にカッコいい。


なにこの気持ち。


頼れる感じ……守られてる安心感みたいな?
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