偽フィアンセは次期社長!?
あたしのアパートの前に、およそ似つかわしくない高級車。


……まさか。


中央に堂々とエンブレムを輝かせて。

その、とってもメジャーなドイツの高級車の、ウインドウがスーッと開いて……


「嘘だろ」


いやいや、それあたしの台詞です。


なんすか、この高級車。


あたしですら分かるこの高級車。(大事なので確認の意味も込めて二回言いました)


「……それじゃ、ギリギリ通勤服じゃねーか」


「ギリギリってなんですか?そりゃ、通勤服ですけど?」


「んーーーーーーーーーーーーでもなー時間ないしなーーーーーんーーーーーー」


窓の向こうで勝手に悩み始めるオオカミ課長。


「も、いいや、ひとまず乗れ」


……勝手に結論出されても困るんですけど。
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