偽フィアンセは次期社長!?
「あれ……もしかして、吉川さん、じゃないですか?」


課長が、一組のカップルがお茶を飲んでいるテーブルに、声をかける。


吉川さん、と呼ばれた男の人は、上品なスーツを身に纏い、優しそうな雰囲気で振り返った。


「おお、松田さん!……お久し振りです」


……課長に比べるとちょっとぎこちない。


優しそうだけど、もう少し頼りがいのある方がいいかな、あたしは……

って、品定めしている場合じゃないっつーの!


「すみません、お取り込み中、お邪魔してしまって」



あれ?


課長が、吉川さんの連れ……つまり、諦めさせたい相手、あのマルシェに来ていた美人さんに他人行儀に声をかけている。


なんでそんな、知らないふりしてるの??
< 145 / 347 >

この作品をシェア

pagetop