偽フィアンセは次期社長!?
ど、どうしよう……。


もしも、『お茶の一杯くらい飲ませろよ』とか言われたら……。


えーとえーと、今どうなってるんだっけ?あたしの部屋……。


あーーーー、多分服とか雑誌とかとっちらかってる。


でも、5分貰って、とりあえず、ばばばーっとかき集めてクローゼットに押し込めば、どうにかなるかな?


「赤ずきん、シンデレラときて次は何だ?カチカチ山か?」


……へ?


課長の視線の先には、後部座席に置かれたあたしの大きな紙袋。


「なんですか、カチカチ山って……」


「でかい鍋でも入ってんじゃねーのかってくらい重いから」


……カチカチ山って、大きな鍋の出てくる話だったっけ??


いやいや、そんなこと今はどうでもいい。


「あー、えーとそれは……」


思わず言い淀む。だって、中身はマルシェの売れ残りだもん。
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