偽フィアンセは次期社長!?
「『趣味でやってるんですぅ~』ってのも、あながち嘘じゃないのかもな。あんなに売れ残ってりゃ」


「……今の感じ悪い喋り方、誰の真似ですか?て言うか、今回は特別なんです!」


思わず力が入る。


「何だよ、特別って」


「色々考え事してたら、手が進んでしまったと言うか、作りすぎちゃって……」


話してからふと思い当たる。


そっか、この紙袋もずっと持っててくれたんだ……そりゃ重いよね。


「そーかそーか、俺に会えなくて寂しくて消しゴム彫るので誤魔化してたのかー、そーかそーか」


ふざけた口調で笑いながら、わしわしわし、と髪の毛をぐちゃぐちゃにする。


「ちょっ……んなわけないじゃないですか、やめてくださいよ!!」


だから、ドキドキするってば!!


急いで髪の毛をもとに戻す。
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