偽フィアンセは次期社長!?
「ほ、らよっ」


長い腕を伸ばし、課長が後部座席から紙袋を取ってくれる。


ごそごそと中を漁り、


「今日の運び賃、これな」


……手には、あたしの作った消しゴムはんこ。


「わ。重いと思ったらなんだこれ」


そう、その他にも、暑いからと沢山持ち込んだ500ミリのペットボトルのお茶や、お菓子や、お客さんがくれた柑橘類等々も入っていて……


「よ、よかったらこれもどうぞ!!」


お茶やジュースを押し付ける。


「……こうなってくると、残飯処理的な?」


「違いますよ!感謝の気持ちです!!」


ああなんか調子狂う。


「んじゃ、いただく。どうもな。気を付けて帰れよ」


「いや、うちそこなんで。ありがとうございました」


急に恥ずかしくなって、荷物を掴んで外に飛び出す。


「お茶でも飲んで行きますか?」


みたいな展開を期待……じゃない、想像した自分が恥ずかしい。
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