偽フィアンセは次期社長!?
あたしの心の中が怒りで燃え盛る間、バカ柳瀬は特に紙集め作業を手伝うでもなく、にやにやとこっちを見ながら突っ立っていて。


……ホントにバカだわ、こいつ。


知らんぷりして紙を集めるあたし。


お前もぼさーっとしてないで手があるなら手伝え、バカ!


て言うか何しにきてんの?印刷?なんなの??



「にしても、可愛くなったねー仁美ちゃん」


気がつくと目の前に柳瀬先輩がしゃがみこんでいて。


近いんですけど……と言いかけると同時にすぅっと髪の毛を撫でられて。


「…………っ!!」


思わず後ろにのけ反る。


比喩でもなんでもなく、肌が粟立った。


怖い、と気持ち悪い、が同時にあたしを襲う。


『やめてください』と大声で叫びたいのに声が出ない。
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