偽フィアンセは次期社長!?
「イケメン部長が妬いちゃったりして♪」


那由子が楽しそうに言う。


「……課長だっつーの」


「細かいなー、仁美は」


だけど、ホントに。


妬いちゃったりなんて、するはずもないのに……


「ね、あたしは課長一筋です!あんなオトコこっちから願い下げです!って言っとけば?ほれ、スマホ貸してみー??」


思わず、自分のスマホをぎゅっと握る。


「絶対駄目!!那由子に渡したらどうなるか大体想像がつくもん!」


「勢いが大切なのにぃ……」


残念そうな顔をして、あたしの手土産だったシュークリームを頬張る。


「いいんだよ、別に。課長をいちいち煩わせたくないし」


「……愛なのね……そりゃそうよね、恋のライバルの作ったサンドイッチを完食しちゃう仁美だもんね!おかーさん嬉しい!」


那由子の悪のりが止まらない。
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