偽フィアンセは次期社長!?




昼休みになると同時に企画部へと向かう。


靴とストールを返して、終わってしまう……という事よりも、『好きなんだ』と意識してから初めて課長に会う事に対する緊張感で頭がくらくらする。


ロッカールームに紙袋を取りに行くついでに鏡でチラッと見た顔は、やっぱり、いつも通りの、冴えないあたしで。


藤色が似合わない、とか制服がダサい、とかそういう問題ではなく、どこからどう見ても『ショボいOL』。


そんなあたしがあの課長を好きだという時点で、おかしな話だったんだ。


急がないと、どこかへまた行ってしまうかもしれない、と足を早める。


企画部のフロアーには……あ!!!


いつか、靴を届けてくれた地味めの(自分の事を棚にあげて……)彼!!!
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