偽フィアンセは次期社長!?
後ろに追いやってある、紙袋をチラッと見る。


……賭けてみようか。


もしも、『課長のフィアンセ』が実在するのなら、潔く諦める。


だけど、もしも……
『課長のフィアンセ』は実在しないのであれば、告白する。


今すぐここでは無理だけど。



だってあたし、こんなに楽しい。


ただの昼休みのランチがこんなにキラキラしていて。


課長にこの穴場スポットを教えたのが山田さん(男性)だと分かってこんなに嬉しくて。


こんな風に振り回される事が、ちっとも嫌じゃない。


「あと10分くらいしたら戻らないとだなーやだなー」


ぐうぅ、と気持ち良さそうに伸びる課長。


「あの……」


自然な感じで話しかけたいのに、なんか棒読みっぽい。
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